留学経験者の話を鵜吞みにしてほしくないと思う理由

 

 語学堪能、というと、どういった種類の人間を想像するかといえば、留学帰りと帰国子女の二つが並ぶのではないだろうか。

 

ただここで、留学と帰国子女はかなりベクトルが違ってくると主張したい。

 

留学させるのと子供のうちに親の事情で連れていくのとでは、そもそも得られるものが何もかも違うのだ。

 

最大の要因は、関わる人の違いだ。

 

留学生というのは、まず、受け入れ先の先生や他の生徒と関わる。

留学生を扱う先生は、外国人との関わりのプロである。

つまり、英語が出来ていない日本人や、成績だけは優れている日本人がどのように英語を理解しており、どのような性格や考えかたで、留学に何を期待しているかをしっかり把握している。実際には理解してもらえない説明や、実際には使わない言い回しをしてしまっても、彼らは理解してくれるのだ。

 

他の生徒は、それぞれの国から、異国で学ぶ意思を持って来ている。

いままでの常識が通用しない環境に身を置いている自覚がある。

従って日本人が日本人として振る舞う様子を見ても、客観的かつ好意的に受け入れる頭脳と冷静さがあるのだ。

 

そういった、整備された環境に無自覚なまま、「これは海外で通用する」と情報を流してしまう留学経験者は少なくない(もちろん有益な情報も多い)。

 

留学帰りの先生や友人の話を聞くときには、そういった状況を想像した上で情報を取捨選択されたい。